手打ちそば麺は、原料の蕎麦粉の善し悪しが香りと味、喉ごしを左右し、各工程での出来が見栄えと食感(かたさ他)に影響する。自分で出来の良いものを打つことを目標にし、趣味としている人も少なくない。ソバの実を挽くと中心から挽かれて出てくることから、後から出てくる粉に比べて、最初にでてくる一番粉が白く上品な香りを持つ。一番粉を使用した蕎麦が「更科蕎麦」である。蕎麦ガラを挽き込むと黒っぽい「田舎蕎麦」になる。また、新蕎麦の特徴を表す種皮の緑色が鮮やかな「藪」系の蕎麦はその香りが高い。つなぎとして小麦粉や山芋、布海苔、オヤマボクチなどを混ぜることが多い。100%蕎麦粉と水だけで麺をつくる「生粉打ち蕎麦」(十割蕎麦)には、文字通り、つなぎは使われない。
最も一般的な食べ方は、茹でた後にぬめりを取るために冷やしながらそばを洗い氷水等で締め、つゆにつけながら食べる盛りそばやざるそば(違いについては後述)である。また、茹でて冷やして締めたそばを暖めて丼に盛り、温かいつゆを張ったかけそばもある。ちなみにつゆを「ぶっかけ」るを縮めたのがかけである。
そばの香りや喉越しを楽しむために食べるときに音を立てることが許され、その点で世界的にも稀有な食品である。
多くの蕎麦好きは、蕎麦の香りを重要視する。新蕎麦の季節ともなれば尚のことである。そうした蕎麦の香りを存分に味わうには、空気と一緒に啜り込み、鼻孔から抜くようにして食べるのが最良である。結果として音を立てることになるが、なんら恥じることはない。